ゼンショー

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株式会社ゼンショーZENSHO CO., LTD.)は牛丼を中心とする「すき家」(すきや)等を運営する企業。親会社の株式会社ゼンショーホールディングス(旧・株式会社ゼンショー)により各種外食チェーンを展開している。企業スローガンは「食べる物に、世界一臆病な企業でありたい。」。

2011年3月期連結売上高は日本の外食産業トップであり、ブラック企業就職偏差値ランキングでは偏差値75の堂々たるブラック企業である。

概要

東証一部上場。本社は東京都港区のJR品川イーストビル6 - 8階に所在。グループ企業の半数以上も同ビルに入居している。以前は横浜市西区北幸のSTビルに存在した。

M&Aに積極的で、2000年代には各ジャンルの外食チェーンを次々と買収し傘下におさめている。グループ連結子会社に、ファミリーレストランチェーンの「ココスジャパン」や「サンデーサン」、牛丼とうどんを中心とする外食チェーンの「なか卯」「すき家」などを有する。

反面、急激にグループ拡大を進めたことにより有利子負債が急増したため、不採算チェーンの統廃合を進めており、どんぶり専門店の「たの家」、カレー専門店の「南南亭」、ハンバーガーチェーンの「ウェンディーズ」からは撤退した。また、回転寿司事業では一時カッパ・クリエイト(かっぱ寿司)とあきんどスシロー(スシロー)の大手2社を傘下に収めて業界での地位確立を狙ったが、カッパ・クリエイトとは提携わずか半年で「提携凍結」となり、あきんどスシローとは経営陣からの反発を買う形で事業撤退(ホワイトナイトとなったユニゾン・キャピタル傘下のファンドへの事業譲渡)となり、以前よりグループで展開していた業界第5位「はま寿司」による展開にとどまっている。

海外へも事業展開を進めており、2006年アメリカで約200店を経営するカタリーナ・レストラン・グループを買収する。

社名は以下の語呂に由来する。

  • 創業時からの目標である「フード業世界一」になるためには、「14勝1敗」では駄目で「15戦15勝」つまり「全勝」でなくてはならない。
  • 意の売を行う。
  • 」の心で売を行う。

沿革

  • 1982年6月 - 神奈川県横浜市鶴見区に本社設立
  • 1982年7月 - ランチボックス(弁当店)1号店として、生麦店を開店
  • 1982年11月 - すき家(牛丼店)ビルイン1号店として、生麦駅前店を開店
  • 1986年8月 - 神奈川県横浜市神奈川区へ本社移転。
  • 1989年1月 - 神奈川県横浜市西区へ本社移転。
  • 1997年8月25日 - 株式を店頭登録市場(現・ジャスダック)に店頭公開
  • 1999年9月 - 東京証券取引所市場第二部に上場
  • 2000年7月 - 茨城県の食品スーパーカスミから(株)ココスジャパンの株式譲受
  • 2001年3月 - 2000年9月の松屋・2001年3月初めの神戸らんぷ亭の値下げに追随し、5日より牛丼(並)を400円から280円に値下げ、2004年2月まで
  • 2001年5月 - 株式会社ぎゅあん株式取得
  • 2001年9月 - 東京証券取引所市場第一部に上場
  • 2002年5月 - セゾングループの西洋フードシステムズ(現西洋フード・コンパスグループ)からロードサイドレストラン「CASA」(譲受後にココスに転換)の一部店舗譲受
  • 2002年12月 - 大和フーヅ株式会社との業務提携
  • 2002年12月 - ダイエーグループから株式会社ウェンコジャパン(現日本ウェンディーズ)、及び株式会社ビッグボーイジャパンの株式譲受
  • 2004年2月 - 東京都港区港南二丁目に本社を移転。
  • 2004年2月5日 - 牛丼の販売を休止。主要チェーンでは「なか卯」に次いで2社目
  • 2004年9月17日 - 牛丼の販売再開(オーストラリア産牛肉使用)
  • 2005年2月26日 - 双日が51%保有していた同業者のなか卯の発行済み株式のうち33%を取得。牛丼のチェーン店で全国第2位規模に
  • 2005年8月5日 - なか卯へ株式公開買い付けを行い、発行済み株式の60.05%を保有し連結子会社とする。
  • 2006年4月1日 - 株式会社ユーディーフーズ(100%子会社)が、民事再生手続中のサンビシから営業譲渡により全事業を承継(ユーディーフーズは営業譲渡後に(株)サンビシへ社名変更)
  • 2006年5月31日 - 米国カタリーナ・レストラン・グループ(Catalina Restaurant Group)をゼンショー・アメリカ・コーポレーションの新設子会社と合併
  • 2006年8月1日 - ピザ専門企業の(株)トロナジャパンから営業譲渡を受ける。(ピザ、ピザクラスト製造・販売事業。ピザの宅配事業(シカゴピザファクトリー))
  • 2007年3月8日 - カッパ・クリエイト(株)と資本業務提携(10月に提携凍結)。カッパ・クリエイトの第三者割当増資を引き受け、カッパ・クリエイトの筆頭株主 (31.25%) となる。
  • 2007年3月23日 - (株)あきんどスシローの株式取得を取締役会において決議。あきんどスシロー発行済み株式 1,451,600株を取得し、筆頭株主 (27.23%) となる。
  • 2007年3月26日 - (株)サンデーサンへの友好的な株式公開買い付け(実施期間は2月16日~3月15日)により、サンデーサン発行済み株式の52.13%を買い付け、連結子会社とする。
  • 2007年7月27日 - 「すき家」沖縄県第一号店のコザ・ミュージックタウン店の開店をもって、ゼンショーグループの全都道府県への出店。
  • 2008年1月 - 企業ロゴを変更。
  • 2008年8月14日 - ゼンショーが保有するカッパ・クリエイトの株式31.09%のうち20.59%を自己株式立会外買付取引にてカッパ・クリエイトに売却することを発表。また、カッパ・クリエイトとの資本・業務提携の解消も発表。
  • 2008年9月 - 「すき家」の店舗数がライバルの吉野家(1,077店舗)を抜いて1,087店舗となり、単独の牛丼チェーン店店舗数第一位となる(2008年9月末時点)。
  • 2008年10月8日 - 和食ファミリーレストランを展開する(株)華屋与兵衛を買収することを発表。
  • 2009年5月31日 - (株)あきんどスシローがユニゾン・キャピタル極洋系のエーエスホールディングス(株)と合併(エーエス社による吸収合併)。ゼンショーはエーエス社から金銭交付を受け、あきんどスシローはゼンショーグループから離脱。
  • 2009年9月30日 - (株)GMフーズ(ラーメン・中華料理店の運営会社)を吸収合併。
  • 2009年12月10日 - ウェンディーズとの契約を12月末以降更新しないことを発表。アメリカのWendy's International, Inc.が新たな提携先を探すと発表した。
  • 2010年3月24日 - 株式会社なか卯と大和フーヅ株式会社を、株式交換により完全子会社化。
  • 2011年5月13日 - 2011年3月期の決算単身を発表し、連結売上高が日本マクドナルドホールディングスを抜き、日本の外食産業でトップになったことを明らかにする。
  • 2011年5月27日 - 完全子会社の株式会社ゼンショー分割準備会社を設立。
  • 2011年10月1日 - 株式会社ゼンショーが、会社分割を行い、店舗運営事業を株式会社ゼンショー分割準備会社に承継させ、持株会社となる。同時に、株式会社ゼンショーが株式会社ゼンショーホールディングスに、子会社の株式会社ゼンショー分割準備会社が(2代目)株式会社ゼンショーに、それぞれ商号変更。

食の安全・食材管理

社長の小川賢太郎は「経営上重視するものは、一に安全、二に品質、三にコスト」と述べる。食の安全の確保のため、分析センター(2006年6月設立)をもち、残留農薬食品添加物を独自にチェックしている。また、事故が起こった際には、発生から1時間以内に経営トップに事故情報が伝わるシステムを構築している。

BSE問題に対しては、2004年2月5日に主要チェーンでは2番目に牛丼の販売を停止した。その後、同年9月17日にオーストラリア産牛肉を使用し牛丼販売の再開を決定する(値段は牛丼「並」で販売停止前より70円高い350円となる)。ゼンショーは独自にアメリカの現地調査を行い、安全性が確保されていないとして米国産牛肉の使用を見送り、オーストラリア産牛肉を使用し続けていたが、2010年12月にゼンショーも米国産牛肉の使用を再開した。小川は「本当に消費者のために安全性を検証しているのか」と述べて政府の対応を批判していた。

中国産食品への懸念の高まりに対しては、安定して食料を提供するには、国産だけでは賄えないとの理由から自社管理農場を通し、使い続けるとしている。また、直営店で提供していた中国産のうなぎについては顧客を不安にさせるという理由からメニューに原産地の表示をしていない。

また、食材の調達から店舗で販売するまでの食材管理を、全て自前で行っている。「マス・マーチャンダイジング(MMD)」と呼ぶこのシステムによって、安全性の確保や、味へのこだわりといった質の向上、急な需要増への柔軟な対応が図れるという。

グループ展開

一部の業態では店舗の電話番号を公表していない。牛丼チェーン店展開企業としてゼンショーはすき家なか卯を有していたことにより店舗数最大手となっているが、すき家単独でも2008年9月末に吉野家を抜いて1位となる。

株式会社ゼンショーの事業

ゼンショーホールディングスを分割した事業子会社である株式会社ゼンショーの社内カンパニーが手がける事業。

  • すき家カンパニー - 牛丼店チェーン「すき家」を展開。ゼンショーの核となる事業。2007年7月27日、沖縄県に第一号店の開店により全都道府県への出店を達成。2008年9月末時点での店舗数でライバルの吉野家を抜き、単独の牛丼チェーン店店舗数で初めて首位となった。
  • GMフーズカンパニー - 中華料理「天下一」、中華麺の店「伝丸」などの運営。元々グループ会社である株式会社GMフーズによる運営だったが、2009年9月30日付けでゼンショー本体に吸収合併し、ゼンショー直営となった。
  • ぎゅあんカンパニー - 焼肉しゃぶしゃぶの店「牛庵」「いちばん」、メキシカンレストラン「エルトリート」を展開。2010年9月1日にゼンショーと合併。
  • MORIVA COFFEE(モリバコーヒー) - 低価格メニューが特徴の喫茶チェーン。自由が丘フォレストコーヒーが母体。2010年以降は旧ウェンディーズ跡地に設ける店舗が多い。

その他グループ会社

ゼンショーグループ入り後に業態変更・一部業態からの撤退をしたチェーンもある。

かつて展開していた事業

  • 株式会社日本ウェンディーズ(100%出資) - ハンバーガーショップ「ウェンディーズ」を展開。アメリカ本部とのFC契約解除に伴い2009年12月31日を以て全店閉店。法人は翌2010年1月1日付で株式会社GFFに商号変更、同年3月31日にゼンショーに合併。
  • 株式会社あきんどスシロー(22.30%出資) - 回転寿司チェーン「スシロー」「あきんど」を展開。2009年5月31日を以てグループから離脱
  • カッパ・クリエイト株式会社(31.09%出資) - 回転寿司チェーン「かっぱ寿司」を展開。2008年8月15日を以てグループから離脱
  • 株式会社シカゴピザ - 宅配ピザと宅配パスタチェーン「シカゴピザファクトリー」を展開。2008年4月から株式会社トロナジャパンより分社して設立、2011年6月30日を以てグループ離脱。

「アルバイトは『業務委託』なので『労働者』ではなく残業代は発生しない」

非正規雇用の労働者でも、労働組合に入って会社と対等に交渉できる―。

牛丼チェーン「すき家」を経営するゼンショーによる首都圏青年ユニオンとの団体交渉拒否を断罪した東京高裁小池裕裁判長)の判決(2012年7月31日)のなかに、この当たり前の権利を前進させる重要な指摘が書き込まれた。

労組未加入多数--いま日本で労働者の3人に1人、若者や女性の2人に1人が非正規雇用となり、正社員でも圧倒的多数が労働組合未加入となっている状況で、地域ユニオンなどの1人からでも入れる個人加盟の労働組合が、労働者の権利を守る大きな役割を果たしている。ところが、経営者が個人加盟労組を敵視し、労使交渉を拒否して職場を混乱に陥れる事例が相次いでいる。

すき家の事例もそのひとつ。青年ユニオンにアルバイトの若者たちが加入し、未払い残業代の支払いやシフト差別是正などを求めて団体交渉を申し入れたところ、会社は拒否した。

会社側が団交拒否の理由としたのは、

  • 青年ユニオンには、すき家店員以外の組合員がたくさんいるから、団体交渉の資格がない
  • 非正規雇用中心の労働組合は正社員を差別しており非民主的だから、憲法や労働組合法で認められた労働組合の資格がない
  • アルバイトは「業務委託」なので「労働者」とはいえず残業代は発生しない―などという荒唐無稽なものであった。

そして、会社側は、すき家店員以外も含めた全組合員の名簿を提出しろなどと、青年ユニオンに不当な要求を行った。この会社側の主張は、東京都労働委員会、中央労働委員会、東京地裁でことごとく否定された。それにもかかわらず会社側が控訴して同じ主張を繰り返すことに対し、東京高裁は厳しい指摘を行った。判決を読むと―。

  • 青年ユニオンに対し、労組法上の資格の説明を繰り返し求め、組合員名簿の提出など「過度の要求」をする会社の姿勢は、「団体交渉の回避・拒否など別の目的があったのではないかとの疑問を生じさせる」。
  • 非正規雇用中心の労働組合を非民主的とする見方については、「独自の見解が多数みられ、こうした主張で、団体交渉拒否を正当化することは到底できない」。

「作業効率が落ちるから…」電源落とさずピザ生地分断機の清掃作業させたら指4本切断(2013年7月)

ピザ生地分断機の電源を入れたままで清掃させていたとして、京都南労働基準監督署は1日、大手牛丼チェーン「すき家」を運営するゼンショーの子会社で、冷凍具材などを製造するトロナジャパン(東京都港区)の京都工場長(44))と法人としての同社を労働安全衛生法違反の疑いで京都地検に書類送検した。

同社の契約社員(36)が指4本を切断する事故があり、違反が発覚した。

宇治田原町立川金井谷の工場で4月17日、契約社員が機械を一時停止させて清掃中、別の社員が誤って機械を稼働。契約社員が右手を機械の金属刃部分に挟み、指4本を切断した。

労働安全衛生規則により、清掃時には電源を切らなければならないが、同社は同様の作業手順を長年継続。工場長は「電源を切ると作業効率が下がると思ってやっていた」と話している。

諸問題

労働問題

ゼンショーグループでは、本社採用の新卒者のほかに本部並びに各店舗ブランドごとに『アルバイト』『パート』として時間給のシフト勤務労働者を一括して募集している(形式上は店舗ごとの募集となっているが、エントリー先の電話番号は店舗ブランドごとに「クルー採用センター」と呼ばれる単一の電話番号である)。店舗に勤務する正社員は基本的に店舗管理マネジャー(いわゆる「店長」)のみで、実質的には『アルバイト』『パート』による店員(これらの店員は「クルー」と呼ばれる)が店舗運営を担っている。

この『アルバイト』の勤務形態について、ゼンショーでは労働問題調停(後述)の場において「『アルバイト』と称する者らの業務実態を精査した結果、『アルバイト』の業務遂行状況は、およそ労働契約と評価することはできない」「会社とアルバイトとの関係は、労働契約関係ではなく、請負契約に類似する業務委託契約である」と主張しており、すなわち『アルバイト』はゼンショーとの雇用関係にない個人事業主としての個人請負契約であることを表明している。これは、勤務シフト(労働形態)を『アルバイト』自身が選択できる(すなわち労働形態の選択権が会社側にない)ことを根拠に主張しているものだが、このスタンスに立つと、『アルバイト』は労働基準法労災保険法などの労働法の適用外となり、『アルバイト』に対する解雇規制・有給休暇失業保険給付等は法規制の対象外となって、場合によっては年金・健康保険もすべて自己負担となると解釈される(実際には社会保険が適用されることが募集要項に謳ってある)ことから、『アルバイト』の労働環境を巡ってゼンショーと『アルバイト』との間で複数の軋轢を生んでいる。

  • 2006年5月、東京都渋谷区内のすき家で『アルバイト』として勤務していた男性の解雇を巡り、労働基準法で定められた残業代が支払われていないことが発覚、同月17日の参議院厚生労働委員会での質疑での小池晃日本共産党)がゼンショーの残業代未払い賃金問題について厚生労働省へ見解を求めた。国会の委員会で取り上げられたことがマスメディアで報道された後、ゼンショー側が渋谷店アルバイト男性の解雇を撤回、2006年12月分の給与からアルバイト未払い深夜割り増し残業代の支払いを始めることを発表した。なお、過去の未払い残業代の支払いには未だ応じていない。
  • 2007年11月、宮城県仙台市泉区のすき家で勤務する3名が支払われていない残業代約17万円を求める是正申告を仙台労働基準監督署に行った。アルバイトの労働問題を支援する首都圏青年ユニオンによれば、未払い残業代の支払いを求めたが、2006年11月以降ゼンショーは首都圏青年ユニオンと継続的な交渉に応じないという。首都圏青年ユニオンは労働組合「すき家ユニオン」を結成し、すき家労働者に加入を呼びかけ、ゼンショーに交渉を求めている。
    • 東京都労働委員会は2009年11月、「従業員は会社のマニュアルに従い決められたシフトで働いている」ことを根拠に、ゼンショーと『アルバイト』は労働契約関係にあるとして不当労働行為を認定、ゼンショーに対しアルバイト店員らで作る労働組合との団体交渉に応じるよう命じ、会社側の主張を退けた。これに対してゼンショーは中央労働委員会(中労委)に再審査を申告するが、2010年8月27日に中労委が棄却。これを不満としたゼンショーは中労委に対して命令の取り消し求める裁判を東京地方裁判所に提訴、2012年2月16日に請求を棄却する判決が下され、ゼンショーが控訴した東京高等裁判所での2審でも、2012年7月31日に請求を棄却する判決が下された。
    • ゼンショー側が是正勧告書の受取りを拒否したため、2008年4月、ゼンショーと当時の社長を労働基準法違反違反容疑で仙台地方検察庁に刑事告訴、ゼンショーと社長は書類送検されている(その後、2009年1月に未払いを認定した上で、労働基準法違反容疑で書類送検された同社などを起訴猶予処分、社長は嫌疑不十分で不起訴)。
    • アルバイト3人は仙台地検への刑事告訴と並行して、ゼンショーに対し未払い残業代など計約99万円の支払いを求め東京地方裁判所に提訴、2010年8月にゼンショー側が原告の言い分を認めて争わない意思を示す「認諾」をし、訴訟が終了した。
    • その後ゼンショー側は2009年4月、訴えを起こした3人のうち女性店員に対し、ご飯5杯分を勝手に食べた・残業代をだまし取ったとして窃盗・詐欺で仙台地検に逆に刑事告訴(嫌疑不十分として不起訴処分)する事態となっており、告訴された店員は「残業代未払い裁判に対しての威嚇、報復行為である」として反発、2010年12月に不当に疑いをかけられ降格させられたとして降格前との賃金の差額、及び、ゼンショーが団体交渉に応じないことで発生した組合活動の交通費など362万円の損害賠償を求め、東京地裁に提訴している。

ゼンショーの「『アルバイト』=個人事業主」の法解釈を巡っては、東洋大学教授の鎌田耕一は「シフトに穴が開かないように最終的に会社がアルバイトの就労日、時間帯を管理しているとすれば、(シフト勤務選択の自由を根拠とした)個人請負との主張は難しい」と分析、「個人請負とするにはアルバイトの採用時に労働者ではないことを面接、求人票、求人広告において示しておくことが必要。また、報酬が時給で支払われていたらやはり個人請負とはいえない」と指摘している。

尚、2012年8月5日現在、ゼンショーの『アルバイト』募集サイトにおいて、ゼンショーでの『アルバイト』が一般用語としてのアルバイトではなく、請負契約や業務委託契約である(と主張している)ことは一切明示されていない。

すき家における強盗問題

すき家における強盗問題は、すき家が吉野家を抜いて牛丼チェーン首位に立った2008年頃から表面化し始めた。

警察庁の資料によると、2010年のすき家の強盗被害の件数は57件で、飲食店を狙った強盗被害の総数121件のおよそ半数近くをすき家が占めた。また、同業種の吉野家(7件)、松屋(0件)に比べても件数が突出しており、同じ店舗で同じ店員が勤務している時に強盗が3回入ったり、1日に各地で強盗が4件入る例も発生した。

こうした状況を踏まえ、2010年に、愛知県警がゼンショーへ10回以上も業務改善要請(防犯ベルと店外の赤色灯の設置などを)を出した他、警察庁も2010年11月、防犯対策の強化を口頭で要請するなど、異例の対応が取られた。

ゼンショーはこうした現状について、「すき家が襲いやすいと考えるのは大きな勘違いであり、すでに十分な対策をとっている」とコメントしていたが、警察庁が2011年6月に調査したところ、ほとんどの店で改善が見られなかった。

このため2011年10月13日、警察庁生活安全局生活安全企画課は2011年1月から9月の牛丼チェーン店への強盗事件(未遂含む)71件のうち約9割に当たる63件が「すき家」に集中していたとしたうえで、「大手企業として防犯に対する意識が足りない。街の治安悪化にもつながりかねないので、徹底的に指導したい」と、ゼンショーに防犯体制強化を文書で要請した。これを受けてゼンショーでは、防犯対策の強化の一環として、2012年3月末までにすき家での深夜帯の一人勤務体制を解消すると発表した。これに関連して、警察庁は2011年10月25日深夜から26日未明にかけて、全国一斉の抜き打ち防犯調査を実施し、防犯体制の調査や指導を行った。2011年12月15日には従業員が首から吊り下げる、小型ペンダント状のワイヤレス非常通報機器をすき家全店舗に導入。2012年1月には2度目の防犯体制調査が行われ、各都道府県警がすき家店舗を訪問して進捗状況を確認した。

野村証券の試算によると、全国に1700店以上あるすき家の全店舗で複数勤務体制を導入した場合、年間25億円の負担増になると見込まれている。これは2011年7月期の連結最終利益47億円のおよそ半分に相当する額となる。一方、ゼンショー自身はこれに伴うコスト増を7億円程度と試算しており、増員による商品提供スピードの向上等を通じた売上高増加を見込むことで負担増分を半減し、業績予想の修正の必要はないとしている。この件に関して読売新聞が「ゼンショーの広報担当者は当初、『経営を度外視してまで防犯に取り組む必要があるのか考えたい』との見解を示した」と報じたが、ゼンショーはこの「広報担当者の発言」を否定し、読売新聞社に抗議している。一方、この報道についてネットメディアのロケットニュース24から問い合わせを受けた読売新聞は、「記事の内容に何ら間違いはない」と再反論した。

2012年3月以降一時的に深夜一人体制は解消されたが、その後深夜一人体制を再開、一人で営業している店が強盗被害に遭う事件が再び増加している。

すき家が標的になる理由として、深夜に店員が1人になる時間帯があること、レジが出入口付近の1か所にのみ設置されそこに現金が集約されていること、ほかの牛丼店と比べてカウンター内部に入りやすい構造となっていること、夜間に人通りが少なく逃走しやすい郊外型の店舗が多いことなどが指摘されている。ゼンショーはこうしたすき家の弱点がインターネット上で広まっていることが犯罪の助長に繋がっていると主張しており、逮捕された強盗犯の中には、実際に「ネットで強盗しやすいと知った」と供述する者もいた。

外部リンク

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