MR

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MRとは、、医薬品の適正使用のため医療従事者を訪問することなどにより、医薬品の品質、有効性、安全性などに関する情報の提供、収集、伝達を主な業務として行う者のことを指す。

製薬業界の花形職種に冬到来、大手で希望退職に400人殺到(2018年1月)[編集]

4月にスタートする薬価制度の抜本改革も逆風となり、製薬業界に寒風が吹きすさぶ。抜本改革と前後して、メガファーマの日本法人で大量のリストラが断行されることが分かった。国内製薬各社も近年、人員を絞っており、今後一段と整理が進む可能性が高い。

「業界の将来見通しがさらに暗くなったタイミングで、早速の大量カットだな」

製薬会社の営業担当であるMR(医薬情報担当者)たちは現場である医療機関で顔を合わせると、そんな話題で持ち切りだ。メガファーマ(巨大製薬会社)である米メルクの日本法人、MSDで大量の早期退職者が出ると2017年末に判明すると、あっという間に業界内にうわさが広まった。

MSDは2016年売上高で米ファイザー、スイス・ロシュ、スイス・ノバルティスに続く世界4位のメガファーマ。日本でも売上高トップ10に入る。2017年初めには、小野薬品工業の画期的ながん免疫治療剤「オプジーボ」と同様に、免疫チェックポイントを阻害する仕組みを持つ「キイトルーダ」を発売して注目を集めた。

同じ会社が年末にも注目を集めた発端は、2016年10月中旬に行われた早期退職募集にある。

MSDは「組織に関することで一切公表しない」とするが、同社関係者によると、会社が大義名分に掲げたのは生産性の向上。国内の同業他社と比べても、グローバルのメルクと比べても、「1人当たりの稼ぎが少ない」ことが理由であると会社側は説明した。要は「人員がだぶついている」のだ。

全従業員約4000人に対し、募集人数は約250人。部門はMRを含む営業、管理など幅広く、17年末時点で勤続2年以上かつ30歳以上が対象だ。50歳以上には最大12カ月分の「特別追加金」が上乗せされたことから、主なターゲットは50代であったことがうかがえる。

同社は募集結果も公表していないが、ある社員は「結果的に早期退職者は約400人」と驚くべき数字を証言する。なんと会社の想定を約150人も上回った。対象者は原則3月末で退職する。応募が殺到したのは、「特別退職金が手厚かったのもあるが、先がないと見切った若手が少なくなかったから」と前出の関係者は打ち明ける。

会社側は出ていく者にアメを、踏みとどまる者にはムチを用意した。1月から課長級以上はほとんど降格扱いだという。「50代の営業所長が1月から軒並み現場のMRになったりしている」と前出の社員。それでも「ほそぼそとしがみつくしかない」と力のない声が聞こえる。

期待の大型新薬を発売したメガファーマですら、これが現実なのである。

画期的な新薬の開発難易度も、それに掛かる研究開発費用もますます上がっている。製薬業界はヒット製品を簡単に生み出せない苦境に立たされている。

社会保障費が高騰する中、約1年にわたる議論の末に薬価制度の抜本改革の骨子が2017年末に決まった。薬価の毎年改定、革新的新薬に対する薬価優遇の大胆な見直し、特許が切れた新薬(長期収載品)の薬価大幅見直しなどがその内容。要は、画期的な新薬には高い値を付けるが、それ以外はどんどん引き下げるというもの。製薬会社には寒風以外の何物でもない。

その寒風は外資製薬に限って吹くわけでも、今になって吹き始めたわけでもない。

国内製薬大手4社(武田薬品工業アステラス製薬第一三共エーザイ)の人員数の推移を見ると、2012年度に約2万2000人だったものが16年度は約2万人と、およそ1割減少している。新規採用の抑制や早期退職募集などの結果だ。

国内最大手の武田薬品は研究開発体制や組織を見直し中で、2017年度も多くの人員を子会社や関連会社へ出向、転籍させた。減少幅はさらに広がる見込みだ。

大手4社以外でも上表のように、中堅の田辺三菱製薬で634人、大日本住友製薬で86人の早期退職への応募があった。田辺三菱製薬は「環境変化に打ち勝つ強靭な体質への変革が急務」、大日本住友製薬は「国内での後発品(ジェネリック)使用促進策による長期収載品売り上げへの影響に加え、戦略品等の売り上げも期待通りには拡大しておらず、国内事業の基盤強化が喫緊の課題」と、厳しい自社の状況を説明していた。

製薬会社の従業員たちは、「MSDの次はわが身か」と戦々恐々としている。特に自社製品の当たり外れで調整人員にされがちなMRへの風当たりは強い。

財務省も2017年10月の財政制度等審議会・財政制度分科会で「営業費用など研究開発費以外の販管費の比率が高い」と指摘。MRの待ち時間や雑務の多さをやり玉に挙げ、産業構造の転換を促している。

「MRに厳しい時代が確実に来ている」と大手製薬会社の現役MR。高収入で人気を博した花形職種が凍えている。

概要[編集]

多くのMRは製薬会社に所属し、自社の医療用医薬品情報を医師をはじめとする医療従事者に提供し、実際に使用された医薬品の副作用情報を収集し製薬会社にフィードバックすることを主な業務としている。かつてはプロパー(宣伝者という意味の に由来)と呼ばれており、MRは製薬業界における、医療従事者相手の営業職にあたる。ただし他業界の営業職とは異なり、営業活動の中心は医薬情報の提供や、集めた副作用情報のフィードバックが主であり、医薬品の販売促進活動ではない。MRには、高い倫理観に基づき、患者の立場から「薬物治療のパートナー」として医療従事者と共に医療の一端を担い、社会に貢献することにあることが求められている。

日本のMRの総数は約6万人に上る。2013年には過去最高の6万5千人に達した。この人数は、医療用医薬品が著明な効果を示す反面、それに比例した強い副作用を持つ二面性があること、日本の医薬品医療用品含む)の流通経路が複雑であることなどと関連している。各種医薬品の副作用情報、適正使用の提示、あるいは効能効果といった情報は、たった1つの医療用医薬品においてすら膨大な情報となるため、現在数十万とも言われる医薬品の適正使用情報を提供するためには、上述のような数万人規模のMRが必要であるとされる。なお、大衆薬(一般用医薬品)および医薬部外品は通常の営業職が担当であり、MRは担当対象外とされる。

MRの出身分野をみると、文科系出身のMRが最も多く約5割、次いで、理科系出身が約3割で、薬剤師MRの占める割合は2000年以降、約1割を前後している。一方、女性MRは2000年以降年々増加しており、現在約1割に達している。

日本のMRの大部分は製薬企業に所属しているが、期間を限定して、販売業務受託機関(CSO)から製薬企業へ派遣されるCMR(コントラクトMR、派遣MRとも呼ぶ。)も存在する。

歴史[編集]

昭和40年代から60年代にかけて、医薬品市場は過度の「添付販売」や「景品販売」、あるいは巨額の接待攻勢が行われ、熾烈なシェア争いが繰り返されていた。そのため、医薬品の本来の品質・有効性・安全性とは無関係に薬が処方される悪弊が時として起こり、それに伴う重篤な薬害なども発生していたため、他業種から見ても異質な業界として世間からの批判が繰り返されていた。この悪弊は、MRに価格決定権があったことに起因すると言われている。

これらは製薬企業があまりにも企業の論理に走りすぎた結果と批判され、1976年には「倫理コード」を、1984年には日本製薬団体連合会(日薬連)が「製薬企業倫理綱領」を定め歯止めをかけようとしていたが、遵守率は低く、その思惑とは乖離した状況が続いていた。しかし、1991年に改正された独占禁止法の施行により、MRの価格決定権が禁止され、流通と医療機関との自主性によって価格が決定される仕組みへと業界のシステムが変更された。このことが業界の商慣行の大幅な修正へとつながり、日本製薬工業協会(製薬協)は自主規制のルール作成に取り組み、1993年医療用医薬品プロモーションコードを作成した。その中の「医薬情報担当者の行動基準」は以下のとおりである。

  • 自社製品の添付文書に関する知識はもとより、その根拠となる医学的・薬学的知識の習得に努め、かつ、それを正しく提供できる能力を養う。
  • 製薬企業は、直接であれ間接であれ、医薬品の適正使用に影響を与えるおそれのある金銭類を医療機関等に提供しない。
  • 製薬企業は、医薬品の適正使用に影響を与えるおそれのある物品や、医薬品の品位を汚すような物品を医療担当者等に提供しない。
  • 効能・効果、用法・用量等の情報は、医薬品としての承認を受けた範囲内のものを、有効性と安全性に偏りなく公平に提供する。
  • 関係法規と自主規制を遵守し、医薬情報担当者として良識ある行動をする。

これにより、従来プロパーと呼ばれていた製薬企業の営業は再構成を余儀なくされ、MRとして再スタートを切ることになった。また、MR活動も薬の販売促進やPR中心の営業ではなく、薬の情報提供や情報収集を中心に営業を行う方向に変わった。この医療用医薬品プロモーションコードから、さらに発展させた、「製薬協コード・オブ・プラクティス」が2013年に策定され、会員会社のすべての役員・従業員と、研究者、医療関係者、患者団体等との交流を対象とした行動基準としている。

また、1996年には日本製薬工業協会(製薬協)により「製薬協企業行動憲章」が制定され、企業の社会的責任を中心に細かく倫理面での意識改革がもとめられた。さらに2001年には企業の法令遵守とリスクマネジメントを強化するために、「製薬協コンプライアンス・プログラム・ガイドライン」が制定された。これらの数度に渡る自主ルールの制定の結果、過度の「添付販売」や「景品販売」および巨額の接待攻勢は抑制され、公正競争規約も絡んで、現在ではこれらの行為を行うとMR個人だけではなく、所属する製薬企業も罰則等のペナルティを受けることとなっている。また、医療業界の再編の進む昨今、良質なMRが製薬企業の評価にも繋がることから、製薬企業各社はMRの教育や質の向上にも注力し、情報提供やプレゼンテーションなどでの優劣を競っている。

MR認定試験[編集]

旧来プロパーと呼称されていた製薬企業の営業部隊は、1993年の製薬協の決定によって、「MR」と呼称されるようになった。さらに1997年には医療知識の向上と良質なMRの育成に資するため、「MR認定試験制度」が導入された。

医療用医薬品製造販売業公正取引協議会[編集]

医療用医薬品製造販売業公正取引協議会(医薬品公取協)は公正取引協議会の一つで、現在の会長は第一三共株式会社の役員が務めている。MRの販売活動にも不当景品類及び不当表示防止法等の法的な裏付けのもと一定の自主規制を設けており、消費者庁及び公正取引委員会の認定・承認を受け、同庁・同委員会に届け出を行う「医薬品業等告示および公正競争規約、同施行規則、同運用基準」を定めている。

MRの今後[編集]

金融や保険と同様、製薬業界も世界のグローバル化の激流に晒されている。世界における日本の製薬メーカーの規模は小さく、国内最大の売上げを誇る武田薬品工業アステラス製薬でも世界的にはトップ10にすら入れておらず、世界の製薬メーカーとの実力差は相当の開きがある。また、ファイザーノバルティスをはじめとする外資系製薬メーカーの国内進出も活発なことから、内資系メーカーの国際競争力や資本強化が急務とされており、厚生労働省も日本を代表するメガ・ファーマの出現を期待していると公言している。2012年4月からは、「接待」関連行為が一切禁止となり、今後のMRと医療関係者との関係が大きく変わることが想定される。

関連項目[編集]