太陽光発電

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太陽光発電は、太陽光太陽電池を用いて直接的に電力に変換する発電方式である。ソーラー発電とも呼ぶ。再生可能エネルギーである太陽エネルギーの利用方法の1つである。この項では発電方式としての太陽光発電について記載する。

概要[編集]

技術的特徴として、発電量が日照に依存し不随意に変化する一方、昼間の電力需要ピークを緩和し温室効果ガス排出量を削減できる。設備は太陽電池、必要な電圧や周波数に変換するインバータパワーコンディショナー)、用途により蓄電池も組み合わせて構成される。開発当初は極めて高価で宇宙開発等限られた用途に用いたが、近年発電コストの低減が進み、多くの発電方法と比較して高コストながら年間数十ギガワット単位で導入されるようになった。今後コスト低減や市場拡大が続くと見込まれ、各国で普及政策が進められると同時に、貿易摩擦に発展する例や価格競争で倒産する企業が見られる。

長所[編集]

  • 装置
    • 発電部(セル)に可動部分が無くソリッドステートであるため、原理的に機械的故障が起きにくい(太陽電池#原理を参照)
    • 規模を問わず発電効率が一定なため小規模・分散運用に向く
    • 発電時に廃棄物・排水・排気・騒音・振動が発生しない
    • 出力ピークが昼間電力需要ピークと重なり、需要ピーク電力の削減に効果がある
  • 設置位置
    • 需要地に近接設置でき、送電コストや損失を最小化できる
    • 蓄電池利用で非常用電源となりうる
    • 運搬・移動に適した小型製品がある
    • 他の発電方式と比較し設置制限が少ない。建築物の屋根や壁面に設置でき土地を占有せずに設置可能
  • 社会
    • エネルギー自給率を向上させる
    • 稼働に化石燃料を必要とせずエネルギー安全保障上有利(#エネルギー収支を参照)
    • 発電時に温室効果ガスを排出せず、設備製造等での排出も比較的少ない(#温室効果ガス (GHG) 排出量を参照)

短所[編集]

  • 発電電力量当たりのコストが他の発電方法より割高である(#発電コストを参照)
  • 夜間は発電せず、昼間も天候等により発電量が大きく変動する
  • 送配電系統へ連系する場合、交流への変換が必要
  • 設置面積当たりの発電量が集中型発電方式に比べて低い
  • 発電量に関してスケールメリットが効かず規模を拡大しても発電効率が変わらない(コストにはスケールメリットがある)
  • 高温時に出力が落ちる(太陽熱発電と逆の特性。温度の影響参照)
  • 影、汚れ、火山灰・降雪等で太陽光を遮蔽されると出力が落ちる

設置場所[編集]

制約が少なく腕時計から人工衛星まで様々な場所で用いられる。地上に直接設置でき、太陽光を十分に受けられパネル重量に耐えられる場所であれば屋根や壁など様々な場所に設置可能である。軽量柔軟なフレキシブル太陽電池では、重量や接地面形状の制約も減少する。剛性があるパネルであっても通常の半分程度まで軽量化し、耐荷重の制約を減らした製品も開発されている。

怒号上がり会場騒然、再生エネ説明会(2014年10月)[編集]

九州電力は2日、再生エネルギーの新規契約を中断したことについて、鹿児島県内の事業者向けの説明会を鹿児島市鴨池新町の県市町村自治会館で開いた。定員の200人を大きく上回る約550人が詰めかけ、九電は急きょ追加の説明会を同市与次郎2丁目の九電鹿児島支社でも開催した。

九電によると、鹿児島県内で太陽光・風力発電の新規契約への回答保留は約1万5千件に上る。説明会で九電側は

「九州の太陽光発電量は全国の4分の1を占め、他地域より急速に再生エネが加速した。このままでは電力の需給バランスが崩れ、安定供給できなくなる」

などと説明。保留した契約が将来どうなるのかについては「なるだけ早く示したい」と述べるにとどめた。参加者からは「時期を示せ」「自己破産したらどうしてくれる」と怒号も上がり、会場は騒然とした。

九電は3日も午後1時半から県自治会館で説明会を開く。

「このままでは倒産だ」「対応が無責任すぎる」-。

鹿児島県での再生エネ新規契約中断の説明会の参加者からは、不安や憤りの声が相次いだ。

大崎町の自営業男性(31)は、太陽光発電への設備投資に銀行から1億円を借り入れ、既に土地購入と造成で5千万円を使ったという。「九電の営業担当者の『大丈夫』という言葉を信じて投資したのに…。契約の一律中止は納得できない」と怒りをあらわにした。

同様に鹿屋市の会社員男性(59)は、来年の定年に備えて千数百坪の土地を約400万円で山中に購入。九電に個人で売電契約を申し込んでいた。有給休暇を取って説明会に参加したが、九電から納得のいく説明はなく、「年金生活の足しにしようと思っていたのだが…。私の老後はどうなるのか」と漏らした。

鹿児島市の不動産会社に勤める男性(33)は、福島第1原発事故後、太陽光発電設備向けの土地の販売業務に当たってきた。「これまで業績は順調だったが、土地が売れなくなると、2、3億円の損害は免れない」とため息をついた。

霧島市の電気工事会社の社員の男性(48)は、回答保留になった顧客の申し込みを数十件抱えている。「顧客に説明するため来たが、こんな内容では何の説明もできない。説明会の会場も狭すぎるし、九電は真摯に対応する気があるのか」と不信感を募らせた。

説明会の質疑応答では、「個別事情は把握していない」などと繰り返す九電の担当者に対し、参加者から「川内原発が再稼働すればますます電気が余るので、大変ですね」と皮肉の声も上がった。

装置構成[編集]

主に以下の要素で構成する。

太陽電池からの電力は接続箱経由で取り出す。独立型での接続箱とインバータやパワーコンディショナとの間には直流側開閉器が備わる。系統連系型の接続箱とパワーコンディショナとの間にも直流側開閉器があるが、送電網につながる分電盤との間に交流側開閉器を備える。(余剰電力を)売電する系統連系型設備では売電用の電力メーターが買電力用のメーターと直列につなげる。(全量を売電する系統連系設備では、太陽電池に繋がる配線と建物内配線を分離する。)

未電化地域・宇宙・遠洋・離島などの遠隔地や道路標識等の小電力用途では系統に繋がず、蓄電池や他の電源を組み合わせた独立型や独立蓄電型で構成される。

一般住宅用の系統連系型では高価な大型蓄電池の設置は稀であるが、災害等での停電時に電力供給が可能とする家庭用大型蓄電池製品も存在する。独立蓄電型に商用電力を常時併用し災害停電発生時に必要な必要最小限の電力を連続供給する大型のUPSが発売された。

発電コスト[編集]

太陽光発電のコストは、一般的に設備の価格でほぼ決まる。運転に燃料費は不要であり、保守管理費用も比較的小さい。エネルギーセキュリティ向上などの付加的なコスト上のメリットも有する。特に昼間の需要ピークカットのコスト的メリットが大きいとされる。途上国で送電網が未整備な場合、消費電力に比して燃料輸送費や保守費が高い場所など(山地、離島、砂漠、宇宙等)では、現段階でも他方式に比較して最も安価な電源として利用されている。

設備導入費用の内訳は太陽電池モジュール(パネル)以外の工事・流通・周辺機器の割合が大きく、2011年時点のパネル製造費割合が2割程度とされる。[[太陽光発電のコスト#コスト構造]] を参照

発電設備自体のコスト以外では火力発電原子力発電の発電量の削減を進めるに伴い、需要と供給の各種変動ギャップを埋める費用発生も見込まれる。風力発電等の電源も関連する。スマートグリッド等の総合的な対策が各国で検討推進されている。

開発当初は高価で用途も人工衛星等に限られたが経験曲線効果に従い価格が低下した。現時点でもコストが比較的高く普及促進に助成が必要であるが、条件の良い地域では既にグリッドパリティが達成されたと報告されている。中長期的にはコストが最も安い発電手段の一つになると予測されている。

グリッドパリティ達成はモジュール価格で1ドル/Wp以下が目安とされた。2012年時点でパネルの種類によっては0.5 - 0.9ユーロ/Wp前後になっている。更なるコスト低減を表明する企業もある。

フランス・ドイツ・イギリス等で2020年までに順次既存の火力発電とコストで競い始めると予測されている。また米国の好条件地域では、2012 - 2014年頃に天然ガス等の発電コストよりも安くなり始めると予測されている。

日本では補助金が中断した2005年頃から一時的に価格が上昇したが、2008 - 2009年にかけて普及促進政策が施行されてからは低減を再開した。[[太陽光発電のコスト#政策]] を参照

蓄電池を用いる独立型システムについても、今後の価格低下と途上国での普及拡大が予測されている。

利用形態[編集]

独立蓄電[編集]

発電した電力を二次電池に蓄電利用し外部送電網に接続しない形態。夜間や悪天候時の発電量低下時も太陽光発電のみの発電で電力供給する場合利用する。系統連系に比べ蓄電設備にかかる費用・エネルギー・COテンプレート:sub排出量が増加するが、外部からの送電費用が上回る場合のほか、移動式や非常用電源システムで用いる。消費電力が少なく送電網から遠い場合にメリットが大きいが、送電網に近くても送電電圧が高い場合には変電設備よりも独立電源設備が安いことがある。一般向けに、小型の最大電力点追従制御機能(MPPT)と自動車用バッテリーで構築する製品も市販されている。

  • 携帯用小型機器
    • 電卓・懐中電灯・腕時計など消費電力の少ない携帯機器を電池交換や充電せずに利用するために小型の太陽電池が使用される。小型一次電池が比較的高価なためコスト面で有利である。
  • 未電化地域での電源
    • 送電網がない地域の照明や家電の電源
  • 移動時の電源
  • 小規模電源
    • 庭園灯や街路灯や駐車券発行機などメンテナンスや配線のコスト削減のために利用
    • 非常用電源
    • 無線通信網の中継局や航空管制局
    • 軍用・アウトドア用の可搬式電源
    • 自動車の換気用電源
    • 灯台用電源

系統連系[編集]

電力会社の送電網に繋げる形態が系統連系である。送電網が来ている場合は売電できるため系統連系で利用する場合が多い。太陽電池モジュール→パワーコンディショナー→商用電源という接続形態を取る。余剰売電では発電量が設置場所での利用量を上回る分を電力会社が買う(売電)。売電電力を送電網に送ることを逆潮流と呼ぶ。夜間や悪天候時に発電量を利用量が上回ると系統側から電力供給する。一般に独立型より発電規模が大きい。独立蓄電型のような大容量の蓄電設備が不要であり、その分、発電量あたりのコスト・GEG排出量・ライフサイクル中の投入エネルギーが独立型より小さい。

出力変動[編集]

天候や気温で出力変動し曇天雨天時は晴天時より大幅に発電量が低下し夜間は発電しない。大規模な系統連系では変動が速すぎると他の電源による調整が追いつかない恐れがあるとされる[1]

  • 比較的短い周期(数秒-数十分)の変動
    • 分散型電源では大規模化と分散化により速い変動成分が平滑化され電源網側での対処が容易となり、ならし効果と呼ばれる。ある程度の導入量まで問題ないとされる。米国での調査では特別な対策をしなくても系統負荷の3割以上の設備容量を系統連系可能とし、過去の大規模な実証試験で変動を電力網側の調整余力で対応でき送電網全体で送電コスト低減によるメリットが上回ると報告されている。さらに連系する容量が増加すると変動対策が必要になるとされる。将来的にスマートグリッドなど系統全体の包括的対策が必要とする。[[#発電コスト]] を参照
  • 比較的長い周期(数時間-数日)の変動
    • 導入量が少ない段階では大きな心配はないとされる。昼間の電力が余ると余剰分の調整が必要である。独立型設備で電力を太陽光発電に頼る場合はバッテリーを追加して需給の差をバッテリー容量の範囲で埋める。[[#独立蓄電]] を参照

モジュールを複数の方向に向けて設置する場合個々の方向で最大出力になる時間帯がずれ、正午の瞬間最大出力が低くなる代わりに、他の時間帯に出力増加する。電力需要は時間帯で変動し一般に午後の方が多い。固定式設備の場合、電力需要との整合性の観点では真南よりも多少西向きに設置するのが好ましい一方で角度により発電量が減る場合がある。米国サクラメント市における解析例では、20度の傾斜を持たせて設置する場合、真南から30度西にずらすと、総発電量は約1%減少するが、容量が系統に貢献する度合いは25%近く増加し全体で経済的価値が大きくなると報告された。冷房需要の多い地域では日照と電力需要の相関関係が高い。

最大電力点追従制御[編集]

最大電力点追従制御(Maximum power point tracking、MPPT)は、インバーターが太陽電池からの電圧と電流の積である電力が最大になる出力電圧で電流を取り出すための制御機能である。使用することで日射量に応じて最適の条件で電力を供給できる。インバーターが直流/交流変換動作を行わない場合太陽電池の出力電流がゼロなら出力電圧は開放電圧(Open circuit voltage;Voc)である。インバータの電流制御によって徐々に太陽電池の出力電流を増やした時にインバータを通過する電力が増えればさらに電流を増やし、逆に増やして電力が減れば電流を減らす方法によって最大電力点に到達する。この制御方法を山登り法と呼ぶ。住宅用太陽光発電用インバータでは太陽電池がアモルファス、結晶系など多様な電流・電圧特性を持つためいずれの特性の太陽電池に対しても安定に最大電力点に追従して運転することが求められることから最大電力追従のための一回の電流の変化幅と変化の速さ・頻度の選択が重要である。最大電力点追従制御は,インバーターでの直流運転電圧を太陽電池アレイと直流ケーブルを通した最大電力点の電圧に近付ける働きをする。最大電力点追従制御は太陽光発電システムの使用者による測定が困難でインバーターの直流/交流変換の効率と同じく製造者による性能表示が重要である。

発電部の構成と特殊な製品例[編集]

セル、モジュール、アレイ[編集]

太陽光発電設備の発電部は、多数の太陽電池素子で構成される。素子やその集合体には、規模や形態に応じて下記の様な呼称がある。

セル
太陽電池の単体の素子は「セル」(cell) と呼ばれる。素子中の電子に光エネルギーを吸収させ、光起電力効果によって直接的に電気エネルギーに変換する。(太陽電池#原理を参照)
1つのセルの出力電圧は通常 0.5-1.0V である。複数の太陽電池を積層したハイブリッド型や太陽電池#多接合型太陽電池では1セルの出力電圧が高くなる。必要な電圧を得るために通常は複数のセルをハンダ付け等で直列接続する。薄膜型太陽電池では太陽電池を構成する薄膜の形成と並行して、セルの直列接続構造も造り込む(集積化)。
モジュール
セルを直列接続し、樹脂や強化ガラスや金属枠で保護したものを「モジュール」(module) または「パネル」(panel) と呼ぶ。モジュール化で取り扱いや設置を容易にし、湿気や汚れや紫外線や物理的な応力からセルを保護する。モジュールの重量は通常は屋根瓦の1/4-1/5程度である。太陽光発電モジュールは「ソーラーパネル」(solar panel) と呼ばれることもある。この名称は太陽熱利用システム(太陽熱温水器など)の集熱器にも用いられる。
ストリング
モジュールを複数枚数並べて直列接続したものを「ストリング」(string) と呼ぶ。
アレイ
ストリングを並列接続したものを「アレイ」(array) と呼ぶ。

モジュール製品の例[編集]

  • セルとセルの間に隙間を作り光を透過させる機能も併せ持つもの(タミヤ製作所
  • 高効率で狭い面積で済むもの
  • 高温環境対策品(太陽電池#温度の影響
  • 強風対策品
  • 塩害対策品
  • 低角度設置に対応し汚れを落ちやすくしたもの
  • 反射光を軽減し周囲に配慮したもの
  • 網目状セルの半透過型(窓やビル壁面で利用)
  • 着色しデザイン性を持たせたもの
  • 軽量で屋根への負担を軽減したもの
  • 両面から光を取り入れ周囲からの反射散乱光も利用するもの
  • 曲げられるフレキシブル型(持ち歩きが容易)
  • 平面や曲面に接着剤で貼り付け設置できるもの

経年劣化と寿命[編集]

大部分の製品が稼働できると推測される「期待寿命」とメーカーが性能を保証する「保証期間」がある。メーカーの製造ミスで早期出力低下などトラブルが起こることもある。通常の経年劣化による出力低下は20年で1割未満とされる。

  • ソーラーパネルは税制面において法定耐用年数が17年と定められている。
  • 屋外用大型モジュールの期待寿命は、過去の製品の結果から一般に20-30年以上とされる。期待寿命は明確に定められておらず、統一基準も無い。
  • モジュールは年月と共に徐々に性能低下する。世界各国の2000例近い各種太陽電池モジュールの経年劣化調査データのまとめでは、性能低下速度の中央値は0.5%/年、平均値は0.8%/年と報告されている。
  • 経年劣化を調査する実証実験においてパネルの種類による経年劣化の違いを検証した結果をもとにすると、25年間に使用により単結晶シリコンパネルで出力が82 - 85%、多結晶シリコンパネルで86.8 - 89%、CISパネルで92.7 - 93.2%、ヘテロ接合(HITハイブリッドなど)パネルで90.4%、アモルファスシリコンパネルで74.6%に低下するという結果になる。なお、屋外用モジュールの出力保証として、各メーカーが10 - 25年の出力保証を付けているが、定格出力に対して保証される経年劣化による出力は25年で80%など、それぞれ実験結果と比べて低い基準でもうけられている。
  • モジュールの強化ガラスとセルとの間に通常EVA等の樹脂が充填される。昔の製品は樹脂が紫外線で黄変(browningまたはdarkening)し性能が急速に劣化する場合があったが樹脂の改良やガラスにセリウムを添加する等の対策で解決された。
  • 経年劣化で発生する代表的変化としては、セルを固定するEVAなど樹脂がはがれたり(delamination)、湿気がモジュール内部に侵入し電極の腐食を起こす例が挙げられる。製造企業の技量不足から比較的早期に性能低下し交換対象になる例もある。
  • アモルファスシリコンを用いたモジュールは屋外光で劣化しやすかったが現在では長寿命化され、20年以上の性能を保証する製品もある。[[太陽電池#アモルファスシリコンの光劣化]] を参照
  • 太陽電池の型式により使用開始時に数%程度性能が低下しその後安定する挙動を示す(初期劣化)。定格値として初期劣化後の値(安定化効率)が用いられる。
  • 製品寿命予測のための加速試験手法として塩水噴霧や紫外線照射、高温多湿 (Damp Heat)環境試験などを用いる。検証手段として実際に屋外の環境に晒すフィールドテストが1980年代から大規模に行われ、現在20数年分のデータが蓄積された。
  • パワーコンディショナーなど周辺機器に寿命(10年?)があり部品交換などメンテナンスが必要である。[[太陽光発電#参考データ]] を参照
  • 人工衛星の電源など宇宙空間での利用では温度差200℃程度の周期的な温度変化、打ち上げ時の振動、放射線による劣化などに対応できる必要がある。このためモジュール(パドル)の構造、セルの材料や構造など各部にわたり対策が施される。
  • 太陽光発電モジュールは長寿命なため、取り付ける架台や施工部分にも長寿命が求められる。一般の建築物同様に数年ごとの保守点検が推奨され、メーカーや代理店によっては定期保守点検プランを用意する場合がある。点検項目のガイドラインとして日本電機工業会が定めたものがある。

発電可能な量[編集]

資源量[編集]

太陽光のエネルギーは膨大で、地上で実際に利用可能な量だけで世界のエネルギー消費量の約50倍と見積もられる。地球に降り注ぐ太陽光の総エネルギー量173000 TWのうち僅か40 TWが光合成を経て有機物を生成する。人間活動で消費するエネルギー量はさらに少なく14 TWである。仮にゴビ砂漠に現在市販されている太陽電池を敷き詰めれば、全人類のエネルギー需要量に匹敵する発電量が得られる計算である。

生産に必要な原料は豊富で少なくとも2050年頃までの予測需要は十分満たせるとされる。シリコンを用いる太陽電池では資源量は事実上無限とされる。シリコンを用いない太陽電池はインジウムなどの資源が将来的に制約要因になる可能性があるが、技術的に使用量を減らせば2050年以降も利用可能とされる。太陽電池用シリコン原料の供給は2008年まで逼迫し価格が高止まりしたが各社の増産が追いつき2009年から価格低下が予測された。太陽電池専用シリコン原料生産技術は様々なものが実用化され、精製に必要なエネルギーやコストが大幅に削減されるとされる(ソーラーグレードシリコンを参照)。

日本国内で導入可能な規模、導入効果の目安[編集]

潜在的には必要量よりも桁違いに多い設備量(7984GWp = 約8TWp分)が導入可能と見積もられるが、実際の導入量は安定電力供給の電源構成上の観点から決まると見られる。導入可能な設備量は102GWp-202GWp程度とされる。建造物へのソーラーパネル設置により期待される導入量が多く、将来の導入可能量は戸建住宅53GWp(ギガワットピーク)、集合住宅22GWp、大型産業施設53GWp、公共施設14GWp、その他60GWpとされる。

太陽光発電の累計導入設備量が100GWp(=1億kWp)になれば日本の年間総発電量の約10%に相当する(200GWpで約20%、8TWpで8倍)。ここまで日本で太陽光発電を導入するには、「農地転用しない限り農地にはソーラーパネルを置けない」と規定している農地法を規制緩和する必要がある。たとえばソーラー電気を農産物と定義し直すと、農地のままで転作作物としてのソーラー発電ができるようになる。

世界的に見て日本の平均年間日照量は最も日照の多い海外地域の半分程度であるが、導入量世界一のドイツより多い(右上図参照)。国内では冬期に晴天が少なく積雪の多い日本海側で日照量(発電量)が少なく、太平洋側で多くなる。 太陽光発電の資源量 を参照

温室効果ガス (GHG) 排出量とエネルギー収支[編集]

GHG排出量は化石燃料電源の排出量より格段に少なく、利用するとGHG排出量を削減できる。エネルギーペイバックタイムやエネルギー収支比の点でも実用水準である。

主な影響要因[編集]

太陽光発電の発電電力当たりのGHG排出量や投入エネルギー量はシステム製造工程と設置環境での発電量でほぼ決まる。稼動時は燃料を必要とせずGHGを排出しない。メンテナンスや廃棄時に排出するGHGや投入エネルギー量も比較的少ない。

  • 製造時GHG排出量や投入エネルギー量は用いる太陽電池#種類や量産技術、量産規模に影響される。生産量は単結晶シリコン型が最も多く多結晶シリコン型が続く。薄膜型(アモルファス、CdTe、CIGS、積層型など)は比較的少ない。年間生産量が10MWから1GWになると設備容量あたりの投入エネルギー量が半分以下と計算される。
  • 設置地域で寿命まで発電できる量は日照時間や温度の影響を受ける。緯度や気候のデータや過去の実績から大まかな予測が可能である。

温室効果ガス (GHG) 排出量[編集]

製造時等では温暖化ガスの排出を伴うが、発電中は全く排出しない。採鉱から廃棄までのライフサイクル中の全排出量をライフサイクル中の全発電量で割った値(排出原単位)は数十g-CO2/kWhであり、化石燃料による排出量(日本平均690g-CO2/kWh)より桁違いに少ない。

  • 日本での排出原単位は一般家庭で29-78g-CO2/kWh(稼働期間20年の場合。30年だとこの2/3)と算出される。削減効果の目安は660g-CO2/kWhとされる。
  • 欧州南部の見積もりでは結晶シリコン太陽電池は現状25-32g-CO2/kWh、将来は約15g-CO2/kWhに減少すると見積もられている。

太陽光発電の環境性能 を参照

エネルギー収支[編集]

エネルギー源としての性能を比較する際に、エネルギーペイバックタイム (EPT) やエネルギー収支比(EPR)が指標として用いられることがある。製造や原料採鉱・精製、保守等に投入されるエネルギーに対して得られる電力の大きさを示す。ライフサイクルアセスメント(LCA)の一環である。エネルギー収支や環境性能の実用性を否定する意見は都市伝説として否定されている。

現状でEPTが1-3年程度、EPRが10-30倍程度とされる。 太陽光発電の環境性能 を参照

世界各国の状況[編集]

[[太陽光発電の市場動向#世界各国の状況]] を参照 世界全体の太陽電池生産量は指数関数的に拡大し続ける。PV NEWSの集計は2010年の生産量が2009年に比べ111%増加し23.9GWp(ギガワットピーク)となった(値は調査会社で異なりPhoton Internationalは27.2GWpとする)。地域シェアは中国台湾合計59%、欧州13%、日本9%、北米5%、他14%である。世界全体の2010年の太陽光発電導入量はEPIAの集計では16.6GWpである。solarbuzz社の集計で18.2GW、額が820億米ドル(約6.5兆円)である。地域別年間導入量は欧州(13.2GWp)、日本(0.99GWp)、北米(0.98GWp)、中国(0.52GWp)、APEC(0.47GWp)、他(0.42GWp)である。市場規模は2025年に太陽電池約9兆円、構成機器全体で約13兆円、システム構築市場が約18兆円となり、それぞれ2009年の5倍以上に達するとも予測されている。

セル製造シェア[編集]

[[太陽光発電の市場動向#世界各国の状況]] を参照 2010年の世界市場の太陽電池セル製造メーカー上位3社のシェアは次の通りである。上位10企業のシェアの合計は44%で、2008年の54%から低下した。日本メーカーはシャープ8位、京セラ10位である。供給過剰と価格競争が続き旧来の大手企業が倒産する例がある。

中華人民共和国の旗 中華人民共和国 Suntech 6.6%
中華人民共和国の旗 中華人民共和国 Ja Solar 6.1%
アメリカ合衆国の旗 アメリカ合衆国/ドイツの旗 ドイツ/マレーシアの旗 マレーシア First Solar 5.9%

太陽電池セル製造用装置メーカー[編集]

2008年の世界市場の太陽電池セル製造装置売上高トップはアプライド・マテリアルズであった。以下Roth & RauCentrothermOC Oerlikon Balzersアルバックと続く。

政策[編集]

  • 固定価格買い取り制度(フィード・イン・タリフ制度)で法的に電力買取価格を保証する国が増加、普及促進効果が報告された。普及量世界一のドイツでは国内の設備導入費用が2006年から5年間で半額以下になった。一方で供給過剰と価格低下でQセルズ、ソロン、ソーラー・ミレニアムが破綻した。また電気料金への転嫁による消費者負担も問題となり、2012年6月ドイツ連邦議会は買い取り価格の20 - 30%の引き下げに同意し同年4月に遡って適用された。

[[固定価格買い取り制度]] を参照

  • 欧州委員会は2007年1月に、2020年にはEUで電力の34%程度が風力や太陽光などを含む再生可能エネルギーで賄われる可能性があると予測した。2008年12月には、2020年までにエネルギー需要の20%に再生可能エネルギーを使用すると決定した。
  • モジュール製造で中国がシェアを大幅に拡大した[2]。米国は中国による政策的ダンピングとして高率関税をかける決定を下し、貿易戦争が激化した。

日本の状況[編集]

詳細は 太陽光発電の市場動向 を参照

日本は1970年代のオイルショックから開発と普及に力を入れ、生産量や導入量で長く世界一であり、2000年ごろまで欧州全体より日本一国太陽光発電量が多かった。

2004年頃には世界の約半分の太陽電池を生産していたが2010年の生産世界シェアは9%である半分以上を輸出する。輸入量は国内販売量の約16%である。国内出荷量の約8割は住宅向けで一戸建て向けが中心であるが近年は集合住宅での導入例も見られる。

2005年に新エネルギー財団(NEF)の助成が終了すると国内市場は縮小し価格が下がらなくなった。

2008年以降助成策強化で国内市場は拡大し価格が下がり始めた。(右図) [[太陽光発電の市場動向#歴史的経過]] を参照 関連産業の規模は2010年度見込みが約1.3兆円とされた。2011年度に約1.5兆円に拡大するとする。約半分がセル・モジュールで半分が他産業の分である。関連雇用は4万人を超えたとする。

政策[編集]

詳細は 太陽光発電の市場動向#助成策 を参照

日本では2011年現在余剰電力買取制度(固定価格買取制度)と国・自治体の各種助成策が実施された。2012年から公共産業向け設備への全量買取制度が導入されると共に、他の再生可能エネルギーも全量買取対象に加わる。

共同で太陽光発電所を設置・運営し売電収入を分配する市民共同発電所の設置例・検討例がある。

日本の太陽光発電システムメーカー[編集]

2010年の日本の太陽電池生産企業はシャープ、京セラ、三洋電機、三菱電機である。[[太陽光発電の市場動向]] を参照 他にセル生産や部材供給に関わる企業が多数存在する。

中国やカナダ等海外からの日本市場参入が見られる。

宇宙太陽光発電[編集]

宇宙で太陽光発電を行う宇宙太陽光発電構想があり、日本、アメリカ、欧州等で研究が進められている。

太陽光発電用の人工衛星を打ち上げ、発電した電力をマイクロ波またはレーザー光に変換して地上の受信局に送信し、地上で再び電力に変換する構想である。宇宙空間の太陽光は、大気に遮られる地上より強力であり大気圏外では地球上の天候(雲)や季節に左右されない。

脚注[編集]

注釈[編集]

出典[編集]

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  2. 引用エラー: 無効な <ref> タグです。 「RTS201105」という名前の引用句に対するテキストが指定されていません

参考文献[編集]

関連項目[編集]

外部リンク[編集]

解説サイト[編集]

産業団体[編集]

公的機関[編集]

日本

研究開発[編集]

専門部署を有する研究機関[編集]

日本

専門学会・展示会[編集]

国際学会
国際的な展示会は年間数十件に上る - Solarbuzzの展示会情報[リンク切れ]
日本の学会

専門論文誌[編集]

NGO・ユーザー団体[編集]